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斎藤 恭一*; 浅井 志保
分析化学, 66(11), p.771 - 782, 2017/11
被引用回数:1 パーセンタイル:3.39(Chemistry, Analytical)レアメタルは、高機能材料の原料として注目を集めているが、一般に、回収・精製が困難であることが多く、選択的かつ効率的に捕集できる材料が求められている。そこで、本研究では、高分子材料の改質法の一つである放射線グラフト重合法を適用して、レアメタルイオンを効率的に捕集する高分子吸着材を作製し、それらの実用性能を実証した。例えば、核酸塩基の一つであるアデニンを、ポリエチレン多孔性中空糸膜や6-ナイロン繊維に接ぎ木(グラフト)した高分子鎖に固定し、パラジウムやルテニウムのイオン種を特異的に捕捉する材料を作製した。また、希土類元素に選択性を有する抽出試薬であるリン酸ビス(2-エチルヘキシル)(略称: HDEHP)をポリエチレン多孔性シートにグラフトした高分子鎖に担持し、カラムに充填して、ネオジムとジスプロシウムの溶出クロマトグラフィーに適用した。HDEHP担持樹脂カラムに比べて、HDEHP担持繊維充填カラムは高速で分離できることを実証した。
斎藤 恭一*; 小島 隆*; 浅井 志保
分析化学, 66(4), p.233 - 242, 2017/04
被引用回数:1 パーセンタイル:3.39(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所では、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを含む汚染水が毎日多量に発生している。本研究では、汚染水を効率的に浄化するため、Cs およびSrを捕捉する無機結晶が担持された繊維を作製した。担持する無機結晶には、それぞれ、Cs およびSrに優れた選択性を持つ不溶性フェロシアン化コバルトおよびチタン酸ナトリウムを選んだ。これらの無機化合物の沈殿を、放射線グラフト重合法によって市販の6-ナイロン繊維に接ぎ木した高分子鎖(グラフト鎖)内で析出させることにより、繊維表面に担持した。得られた沈殿は、多点の静電相互作用に基づいてグラフト鎖に巻き絡まるため、安定担持が実現する。本研究で提案する不溶性フェロシアン化コバルトあるいはチタン酸ナトリウム担持繊維は、従来の粒子状吸着材、例えば、ゼオライトやSrTreat(チタン酸ナトリウム担持樹脂)に比べて、吸着速度が大きく、無機化合物重量あたりの吸着量も大きくなった。
齊藤 徹; 大久保 暁一*; 泉 敬介*; 大川 慶直*; 小林 宣博*; 山崎 亨; 河野 勝己; 礒野 高明
低温工学, 50(8), p.400 - 408, 2015/08
アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)は軽量、かつ高強度の長所を有する構造材料として開発されてきた。本研究においては、室温、液体窒素温度(77K)と液体ヘリウム温度(4.2K)中における、鉄筋代替コンクリート補強材として用いられる市販品のAFRPロッドの引張強度を評価するために、張力試験を行った。これまでは極低温環境下での試験において、試験片がつかみ部ジグをすり抜ける現象か生じるため、引張試験を実施することは困難であった。そのため、AFRPロッドの滑りを防ぐために、ジグに樹脂を充填して行った。また、グリップジグを改良し、ロッドの表面処理を行い、AFRPロッドのグリップ力を高めるために極低温用エポキシ樹脂を使うことによって、適切な引張試験条件を確立させた。各温度環境下での引張強さは1100MPa以上を示し、さらに、試験温度の減少に伴いヤング率が増加する温度依存を示した。ヤング率の増加の要因はアラミド繊維がエポキシ樹脂より支配的であることを確認した。
片貝 秋雄; 玉田 正男; 永本 浩之*; 宮川 博*
日本イオン交換学会誌, 16(2), p.122 - 126, 2005/05
アクリロニトリルとメタクリル酸との放射線共グラフト重合法及びグラフト鎖中のシアノ基のアミドキシム基への変換によって、キレート形成基としてアミドキシム基を持つキレート繊維を作製した。放射線共グラフト重合法でのモノマーを繰り返し使用して、グラフト鎖の組成及び重金属イオン吸着容量に及ぼす効果を調べた。共グラフト重合で生じるホモポリマーの量が0.15g/Lと無視できるほど少ないために、4回モノマーを繰り返し使用しても共グラフト率の低下は初回の170%に比べて10%程度であった。アミドキシム基密度,亜鉛及びカドミウムの吸着容量への影響は小さかった。4回モノマーを繰り返し使用することにより、50%コストダウンすることができた。
井川 直樹; 田口 富嗣; 野澤 貴史*; Snead, L. L.*; 檜木 達也*; McLaughlin, J. C.*; 加藤 雄大*; 實川 資朗; 香山 晃*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.551 - 554, 2005/02
被引用回数:48 パーセンタイル:82.42(Chemistry, Multidisciplinary)SiCは高温機械特性や中性子照射下での低放射化特性等に優れているが、低い靱性や脆性破壊挙動が問題である。SiC繊維で強化したSiC複合材料は、SiCの持つこれらの欠点を大きく改善させたものであり、核融合炉の第一壁等を始めとした構造材料として期待されている。近年、従来よりも高温安定性や耐酸化性に優れた高結晶性SiC繊維が開発され、一層の機械特性等の向上が期待されている。本報では、これら新繊維を用い、機械特性の向上を目標として、低放射化特性に最も優れた手法である化学気相浸透法を用いた複合材料作製の最適化を行った。作製時の原料ガスやキャリアガスの流量等を変化させることにより、従来よりも複合材料の緻密化,均質化が達成できた。また、複合材料中のSiC繊維割合を増加させることにより気孔が減少することがわかった。SiC繊維-母相間の界面材として、カーボン層あるいはC/SiC多層を採用し、界面材の厚みに対する引張機械特性評価を行った。50300nmの界面材厚さ範囲では、引張機械特性の厚み依存性が極めて小さく、この結果、界面材の薄膜化が可能であり、耐照射性の向上が期待できること、また、界面材厚みに対する設計誤差の許容範囲が拡大することを見いだした。
瀬古 典明; 笠井 昇; 玉田 正男; 長谷川 伸; 片貝 秋雄; 須郷 高信*
JAERI-Tech 2004-076, 78 Pages, 2005/01
放射線グラフト重合法を応用した繊維状アミドキシム樹脂の実海域での有用希少金属捕集性能を評価するため、200kgの捕集材を浸漬する試験を1999年9月から開始した。分別溶離試験装置は本試験で実海域に浸漬した捕集材から有用金属を効率よく分別溶離回収する装置であり、むつ事業所内関根浜岸壁に設置した。本装置は海から引き上げた捕集材カセット(290290160mm)の前処理を行う前処理設備と有用金属を溶離回収する分別溶離設備から構成される。本報告ではこの分別溶離試験装置の設計,製作,設置について記載した。前処理では実海域から引き上げた捕集材カセットを洗浄し、付着した海洋生物や汚泥等の除去を行った。次いで、72個単位で捕集材カセットを溶離ユニット(12101210H1460mm)に充填し、溶離液のリークがないよう不織布をパッキンとして隙間に充填した。分別溶離では溶離ユニットを分別溶離装置内に装填した後、低濃度塩酸溶液(0.01M)でのアルカリ,アルカリ土類金属の除去回収、次いで高濃度塩酸溶液(0.5M)で有用金属(特にウラン)の溶離回収を行った。
瀬古 典明; 武田 隼人*; 笠井 昇; 玉田 正男; 長谷川 伸; 片貝 秋雄; 須郷 高信*
JAERI-Tech 2004-075, 51 Pages, 2005/01
放射線グラフト重合技術を利用して合成した繊維状捕集材は、極低濃度の重金属や有害気体成分に対する選択吸着特性に優れている。液相グラフト重合反応によって不織布や織布などの基材に各種金属に対して選択性の高い官能基を導入するためのグラフト重合装置として捕集材合成反応装置を設置した。また、グラフト重合反応と洗浄工程を連続的に処理可能な装置としてガス吸着材合成反応装置を設置した。これら両装置は、グラフト重合の反応可能な酸素濃度までの制御を可能にし、定量的にグラフト物を得ることができた。槽内温度も反応に必要な温度範囲を満たした。連続処理の重要課題である基材の走行は110m/minの範囲での運転を可能にしたことで、この面からもグラフト率の制御を可能なものにした。GMAのグラフト重合反応を行った結果、グラフト率は4070パーセントの範囲で制御できることを確認できた。
城 昭典*; 岡田 健治*; 玉田 正男; 久米 民和; 須郷 高信; 田崎 正人*
Chemistry for the Protection of the Environment 4; Environmental Science Research, Vol. 59, p.49 - 62, 2005/00
ポリエチレンで被覆したポリプロピレン繊維にスチレンとクロロメチルスチレンを電子線前照射により共グラフト重合した後、Arbuzov反応によりクロロメチル部位へのホスホン酸エステルの導入,スチレン部位へのスルホン酸基の導入,濃塩酸によるホスホン基の加水分解を経て、ホスホン基とスルホン酸基を有する2官能性繊維の金属イオン交換繊維を合成した。比較の目的でホスホン酸基のみを有する単官能性繊維も合成した。2官能性の繊維の金属イオン選択性は、両官能基が金属イオン選択性に寄与することにより、スルホン基,ホスホン基のそれぞれを有する単官能性イオン交換体の中間的な特性を示すことがわかった。カラム法におけるPb(II)の吸着において2官能繊維は単官能性繊維より大きな漏出容量を示し、空間速度が900hまでは漏出曲線の形状は通液速度の影響を受けないことから、迅速な吸着特性があることが明らかとなった。
吉川 正人; 杉本 雅樹
コンバーテック, 32(8), p.56 - 60, 2004/08
ポリカルボシランを溶融紡糸して得た繊維を、室温の酸素含有雰囲気で電子線照射すると、その繊維表面だけが選択的に酸化架橋して不融化する性質を応用し、外径15150mの炭化ケイ素セラミックスマイクロチューブを、大量に再現性よく合成する手法について解説した。この解説では、放射線酸化物の架橋反応による不融化のメカニズムを詳細に明らかにするとともに、SiCマイクロチューブの壁厚が、電子線の線量率を変化させることにより、制御可能であることを示した。また、中空化メカニズムの追求では、両端から未架橋部分が抽出されて中空化することを、写真等を用いて視覚的に明らかにした。
玉田 正男
環境資源工学, 51(2), p.99 - 101, 2004/04
ポリエチレン製の不織布へ放射線グラフト重合を行い繊維状の金属捕集材を合成した。グラフト重合は基材ポリマーの放射線照射により開始される。照射した基材はモノマーと反応させキレートまたはその前駆体を導入した。前駆体は化学処理により、キレート基へと変換した。得られた繊維状の捕集材は鉛溶液か除去において、空間速度が500hという高い空間速度での使用が可能であった。このキレート捕集材はホタテ加工残渣からのカドミウム除去や焼却炉の洗浄水からの鉛の除去に応用が可能である。
石原 正博; 塙 悟史; 曽我部 敏明; 橘 幸男; 伊与久 達夫
Materials Science Research International, 10(1), p.65 - 70, 2004/04
2D-C/Cコンポジットの曲げ強度予測法について、実験及び解析的に検討を行った。実験的な検討では、3点曲げ強度を実測し、また破壊後の試験片のSEM観察から基本的な破壊様式を検討した。破面観察の結果、引張応力下での繊維の延びによる破壊様式、圧縮応力下での繊維の座屈による破壊様式及びせん断応力下での繊維間のスライディングによる破壊様式が観察された。解析的な検討では、セラミックス材で広く用いられているワイブル強度理論からの強度予測を検討するとともに、基本的な破壊モードを考慮し競合リスクモデルを用いた強度予測法を提案し、これによる強度予測を検討した。検討の結果、ワイブル強度理論からの予測は、実測値の2倍以上の強度予測結果となり、異方性の高い繊維強化材料には応用できないことがわかった。一方、提案方法では、実測値とほぼ一致する強度予測を示すことが明らかとなった。さらに、提案方法でパラメータ解析を実施したところ、圧縮応力下での破壊様式が曲げ破壊を支配していることが明らかとなった。
城 昭典*; Kugara, J.*; Trobradovic, H.*; 山部 和則*; 須郷 高信; 玉田 正男; 久米 民和
Industrial & Engineering Chemistry Research, 43(7), p.1599 - 1607, 2004/03
被引用回数:28 パーセンタイル:67.22(Engineering, Chemical)繊維状イミノジ酢酸キレート型陽イオン交換体はポリエチレンコートしたポリプロピレン単繊維とその不織布にポリクロロメチルスチレンを放射線グラフトした材料から合成した。得られた繊維状キレート材料の官能基密度と酸容量は単繊維と不織布でそれぞれ2mmol/gと4mmol/gであった。不織布材料を用いて二価のイオンの選択性を調べた結果、Mg(II)Ca(II)Co(II)Zn(II)Cd(II)Ni(II)Pb(II)Cu(II)の順になることがわかった。また、吸着容量はpH5でCa(II) 0.91mmol/g, Mg(II) 0.98mmol/g, Cd(II) 1.5mmol/g, Ni(II) 1.5mmol/g, Pb(II) 1.6mmol/g, Cu(II) 1.8mmol/gであった。三価のイオンではLa(III) 0.75mmol/g,Gd(III) 0.92mmol/g, Lu(III) 1.0mmol/gとなった。単繊維を用いたカラムモードでの評価では、Cu(II)について、破過容量は約1mmol/gで、空間速度が200~300hまで変化が認められなかった。
The, D. T.; 吉井 文男; 長澤 尚胤; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 91(4), p.2122 - 2127, 2004/02
被引用回数:15 パーセンタイル:45.21(Polymer Science)ガラス繊維をフィラーとした複合材は、ボートの材料などさまざまな分野で使用されている。しかし、分解しないため、使用した後の処理に困っている。そこで微生物により分解する生分解性材料を用いた複合材の合成研究を行った。布状のガラス繊維に橋かけ促進剤を含む生分解性樹脂をコーティングし、それを510枚重ねてから熱プレスし、照射を行った。複合材強度へのポリマー濃度や線量の影響を詳細に調べた。板状複合材の最も有効な線量は、100kGyであり最高240MPaの強度のある強靭なものが得られた。この強度はポリエチレンの約10倍である。試料は土壌中に埋めて置くと微生物により分解し、ガラス繊維だけが回収できた。
石原 正博
炭素, (208), p.135 - 144, 2003/09
炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材)は、高い耐熱性から原子力分野において有望な構造材の一つとして考えられている。出口ガス温度が最大約1000となる高温ガス炉では、制御棒被覆管や炉心拘束機構などの高性能炉内構造物への応用が期待されている。さらに、核融合炉では、高温で高中性子照射及び粒子衝突を受けるプラズマ対向機器への応用が期待されている。本稿では、両炉へのC/C複合材の応用についての研究開発の現状を述べるとともに、今後の展望について述べる。
Kugara, J.*; Trobradovic, H.*; 城 昭典*; 須郷 高信; 玉田 正男; 片貝 秋雄
日本イオン交換学会誌, 14(Suppl.), p.77 - 80, 2003/00
クロロメチルスチレンを放射線グラフト重合したポリエチレン/ポリプロピレン芯鞘構造不織布(12m)をイミノジ酢酸ジエチルと反応させ、機能化した。得られたイミノジ酢酸型キレート繊維(FIDA-f)の酸容量は4.3meq/gであった。FIDA-fカラムのコンディショニングpHの増加により、試料溶液の供給最大許流量は減少したが、鉛イオン(II)の破過曲線特性は800hの空間速度まで変化は見られなかった。FIDA-fは5ppmの鉛イオン(II)濃度に調整した河川水から、定量的に鉛イオン(II)を400hの空間速度で600ベッドボリューム除去できることを確認した。
城 昭典*; 岡田 健治*; 中尾 光弘*; 須郷 高信; 玉田 正男; 片貝 秋雄
日本イオン交換学会誌, 14(Suppl.), p.69 - 72, 2003/00
ポリエチレン/ポリプロピレン芯鞘構造不織布にビニルビフェニールを放射線グラフトして作製した繊維をトリエチル亜リン酸,クロロスルホン酸,濃塩酸で処理し、二官能性のホスホン酸繊維(FVCPS-f)を得た。FVCPS-f中のホスホン基と硫黄の含有量はそれぞれ1.8と0.7mmol/gで酸容量は4.2meq/gであった。鉄(III)の破過容量は通液速度が空間速度で20hから1000hまで増加するにつれて徐々に減少した。空間速度が1000hのとき、吸着容量は0.12mmol/gであった。市販されているホスホン酸樹脂及びホスホン酸単独の繊維ではこのような高い空間速度では吸着容量の測定はできず、本研究で得た材料が極めて優れている。
石山 新太郎; 武藤 康
日本金属学会誌, 66(6), p.662 - 669, 2002/06
高温ガス炉ガスタービン発電システム(HTGR-GT)用ターボ機器の軽量化を目的に、目標周速度500m/sを達成するためのC/Cコンポジット材を用いたタービンディスクモデル(外径内径厚さ=450mm250mm40mmt)の試作を行うとともに、このディスクモデルの高速回転試験の結果、下記結論が得られた。(1)ディスクモデル周方向,半径方向及び厚み方向への炭素繊維含有量をそれぞれ40vol%,10vol%及び4vol%としたC/Cコンポジットディスクモデルに、SiC化I-CVI法による緻密化処理を施すことにより、ディスク表面から厚み中央部にかけてマトリックス材中に2.5~20mのSiC層を形成することができた。(2)ディスクモデルのSiC化I-CVI処理は、ディスク構造強化ならびに高速回転試験における周方向炭素繊維剥離防止に効果があることが明らかとなった。(3)ディスクモデルの高速回転試験の結果、当初目標周速度(500m/s)を達成した。この達成値は、過去の二~三次元強化C/Cコンポジット製小型ディスク試作体のスピンテストで達成された値としては最高値である。(4)高速回転試験中のディスクモデルの破壊プロセスは、ディスク内径側からの亀裂発生とその伝播が外径表面に至る過程で生じることを明らかにした。
山田 禮司; 井川 直樹; 田口 富嗣
Advanced SiC/SiC Ceramic Composites: Developments and Applications in Energy Systems; Ceramic Transactions Vol. 144, p.289 - 299, 2002/00
SiC/SiC複合材料の熱拡散率測定の計算機シミレーションを有限要素法で行った。SiC繊維とマトリックスの熱伝導率及びSiC繊維の体積率をパラメータに、複合材料の熱拡散率の計算を200と900のケースで行った。その結果、一般のSiC繊維では繊維体積の増加とともにSiC/SiC複合材料の熱拡散率は減少するが、結晶性に優れかつ結晶粒の大きなSiC繊維の場合には減少することは無く、むしろマトリックスの熱伝導率が比較的小さい場合、SiC繊維の増加とともにより大きな値を示した。これらの傾向は、絶対値を別にすれば、200及び900において共通に見られた。
石塚 悦男; 内田 宗範*; 佐藤 和義; 秋場 真人; 河村 弘
Fusion Engineering and Design, 56-57, p.421 - 425, 2001/10
被引用回数:2 パーセンタイル:19.6(Nuclear Science & Technology)炭素繊維強化炭素複合材とアルミナ分散強化銅からなるダイバータモックアップを中性子照射し、高熱負荷試験を実施した。試料の照射条件は、照射温度が約300、照射損傷量が0.3及び0.4dpaであった。高熱負荷試験は、熱流束を5MW/m、加熱及び冷却時間を10秒として実施した。この際、冷却水の流速及び圧力は、各々11m/s及び1.5MPaであった。試験の結果、0.3dpaまで照射した試料の表面温度は約800となり、未照射試料により約400高くなり、0.4dpaの試料では1100となることが明らかとなった。この原因は、中性子照射によって、炭素繊維強化炭素複合材の熱伝導率が低下したためと考えられる。さらに、同じ高熱負荷試験条件で1000回の熱サイクル試験を実施した結果、炭素繊維強化複合材とアルミナ分散強化銅の剥離はなく、冷却性能が低下しないことを確認した。
須郷 高信; 玉田 正男; 瀬口 忠男; 清水 隆夫*; 魚谷 正樹*; 鹿島 遼一*
日本原子力学会誌, 43(10), p.1010 - 1016, 2001/10
被引用回数:16 パーセンタイル:73.13(Nuclear Science & Technology)高分子不織布を放射線で加工して作製した重金属捕集材(アミドキシム基捕集材)を利用して海水からウランを捕集する場合の経済性を検討し、そのコスト低減化を図るための技術的課題を抽出した。捕集材の合成、実海域に係留する捕集システム、捕集材からのウランの溶離と精製にいたる各プロセスについて、コスト試算を行った。捕集システムについては、3種類の方式を取り上げ比較した。ここで検討した条件では、海水から捕集するウランのコストは鉱山から採掘する場合の810倍と試算された。捕集コストの80%を越える部分を捕集システムが占め、その主な要因は捕集材を保持する金属篭の重量にあることが明らかになった。この重量を1/4にするとコストは半減できる。また、捕集材の性能はコスト低減に直結するため、捕集材を改良してさらに捕集効率を向上させることも重要な研究課題である。